日常生活を送るうえで、火の不始末などによる火災は命の危険にさらされるため、備えておくべき要素のひとつです。
しかし、地震や隣家の火事などにより、自宅が火災の被害に遭ってしまうことがあります。
建築業界では「延焼線」や「延焼ライン」と呼ばれる用語が用いられていますが、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか。
本記事では、防火の基本である延焼ラインの基本情報と、庇の関係性についてご説明します。
「延焼ライン」とは
延焼ライン(延焼線)とは法律上で用いられる用語ではなく、建築業界で使われる言葉です。
延焼とは家事が火元からほかの場所に火が移ることを指すもので、火災の被害を拡大する要因となります。
そのため、延焼ラインは火災が発生したときに、火が燃え移る可能性がある範囲を指します。
建築基準法においては「延焼のおそれがある部分」と表記されており、下記のように定義されます。
- 延焼のおそれがある部分は隣地境界線、道路中心線または同一敷地内の2つ以上の建築物
- 外壁間の中心線から、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離
- ただし、防火上有効な公園、広場、川などの空地・水面・耐火構造の壁は考慮しない
つまり、火災が発生したときに火の元から3m(2階以上の場合は5m)以内が延焼ラインになります。
そのため、延焼ラインとなる可能性がある場所には不燃材料や防炎材料といった、火に強い素材を使用することが求められます。
建築物の防火性能
建物に求められる防火性能には、下記のような基準が設けられています。
外壁(耐力壁) | 非損傷性:30分、遮熱性:30分 |
外壁(非耐力壁) | 遮熱性:30分 |
軒裏 | 遮熱性:30分 |
非損傷性とは火災が発生した際に変形や溶融、破壊などが起きるまでの時間を指すもので、長いほど火に強い性質を持つと言えます。
また、遮熱性とは外部の火災から発せられる高熱により、燃えてしまうまでの時間を指すものです。
そのため、遮熱性についても長い時間耐えられる強さが求められます。
庇と延焼ラインの関係性
ほかの家屋から火が移る際に延焼ラインが考慮されますが、庇は延焼ライン内に含まれることがあります。
延焼ライン内に含まれる庇には、火や熱に耐えられる非損傷性・遮熱性が求められます。
当社で取り扱っている庇の多くはアルミをはじめとして、熱に強い素材を採用しています。
そのため、隣家が火災に遭っても自宅に火が移る可能性を低減することができるでしょう。
おわりに
本記事では、延焼ラインと庇の関係性についてご説明しました。
延焼ラインとは隣家から自宅に火が移る可能性を含んだ範囲を指すもので、被害を最小限に抑えるために用いられます。
庇は延焼ラインに含まれることがあるため、火や熱に耐えられる非損傷性・遮熱性を持つ素材を使用することが望ましいです。
庇を設置する際は、火や熱に強い素材のものを選びましょう。