近年では住宅に関する技術や素材の進歩により、以前よりも快適な生活を送りやすくなりました。
新築の場合は当時の最新技術がふんだんに使われているため、特に快適さを感じやすいことでしょう。
しかし、築年数が古い家屋では、室内の温度が暑かったり寒かったりすることがあります。
さまざまな要因が考えられますが、屋根の断熱性能が低下していることが考えられます。
本記事では、室内温度が暑かったり寒かったりするときに見直すべき屋根断熱についてご説明します。
屋根断熱とは?
屋根断熱とは、屋根の部分で室外の気温を断熱し、家屋全体の断熱性能を高める方法です。
屋根断熱を施工する場合、構造上屋根と天井の間に一定の隙間や空間ができます。
家屋のなかにはロフトや屋根裏部屋を設けていることがあり、これらは屋根断熱を行っていることから生じます。
また、屋根断熱は構造だけではなく、断熱材を使用したものも含まれます。
下記、屋根断熱の際に用いられる断熱材の一例です。
発泡プラスチック系
発泡プラスチック系の断熱材はポリスチレンを発泡することで生成されます。
業界用語ではXPDと呼ばれ、耐水性に優れているほかホルムアルデヒドが含まれていないため、高い安全性を確保できます。
ウレタンフォーム
ウレタンフォームはハイドロフルオロオレフィンのような発泡剤を加えて製造される断熱材です。
軽量で柔らかく、適度な弾力性を持っており、高い断熱性と省エネ効果が期待できます。
発泡ポリスチレン
発泡ポリスチレンは発砲剤とポリエチレン樹脂を混ぜ合わせて作られる断熱材です。
柔軟性や耐久性があるほか、火災などで燃えた際にも有害物質を出しにくいといった、環境に配慮した断熱材といえます。
屋根断熱のメリット
こちらでは、断熱材を使用するメリットをご紹介します。
室内が快適な温度に保たれる
先述の通り、屋根断熱を行うことで室内を快適な温度に保つことができます。
屋根と天井に空間ができ、その空間が室外の温度が室内に侵入するのを防いでくれます。
屋根裏を有効に活用することができる
屋根断熱は断熱機能のほか、ロフトや吹き抜けといった空間に利用することができます。
お子様がいるご家庭では、こちらを子どもたちの遊び場や秘密基地のように活用することが多いようです。
収納スペースとしても活用できる
また、屋根断熱を利用することで、子どもの遊び場だけではなく普段使わないものを収納スペースにすることができます。
暑さや寒さに強いものを収納する必要がありますが、生活空間を圧迫しないため収納スペースとして利用する方は多いものです。
屋根断熱の注意点
屋根断熱にはさまざまなメリットがある一方、下記のようにいくつかの注意点があります。
そのため、新築・リフォームを行い、屋根断熱を設ける際にはどちらがお得なのかを考えておきましょう。
光熱費が高くなる可能性がある
屋根断熱を設けることで屋根裏のスペースができるため、冷暖房の費用が以前よりも多く発生する可能性があります。
家屋によっては冷暖房器具を設置しなければならないことがあるため、設置費用も掛かってしまうものです。
屋根の重さが増加する
屋根断熱に使用する素材によっては、屋根の重さが増加してしまい倒壊のリスクが高くなってしまう可能性があります。
しかし、近年では屋根断熱の素材は軽量化が進行しているため、過度な心配は不要となったといえます。
厚さ制限がある
天井断熱の場合は断熱材に厚さ制限は設けられていませんが、屋根断熱の場合は10cm程度の制限が設けられています。
近年では建築基準法により省エネ化の推進を目的として、断熱性能が義務化されているため注意が必要です。
屋根断熱の施工方法
屋根断熱には、大きく分けて「充填断熱」と「外張り断熱」の2種類が含まれています。
充填断熱は断熱材を構造部分に埋め込むように施工され、外張り断熱は建物の外側から断熱材を使用する施工方法です。
施工方法については工事の規模や建物の状況などによって変わってくるため、施工会社の下調べが必要です。
また、屋根断熱の場合は大規模なリフォームやリノベーションが必要になる可能性があります。
屋根や天井にスペースがなかった場所にスペースを作るため、大掛かりな工事が必要となることが要因です。
しかし、家屋の状況によってはそれ以外の場所もリフォーム・リノベーションが求められるときがあります。
そのため、屋根断熱を実施する際は予算や建物の状況などを施工会社に相談しておきましょう。
おわりに
本記事では、屋根断熱のメリットやデメリット、施工方法などについてご説明しました。
屋根断熱とは、屋根と天井の間にスペースを作ることで断熱性能を向上させる方法を指します。
室内が適温に保たれる、屋根裏を有効に活用することができる、収納スペースとしても活用できるといったメリットがあります。
一方、光熱費が高くなる可能性があるほか、屋根の重さが増加する、暑さ制限があるといった点には注意が必要です。
長期間快適な室温下で生活するために、屋根断熱の設置を検討してはいかがでしょうか。