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歴史から読み解く 庇(ひさし)

 

日本の建築物の多くには庇(ひさし)が取り付けられていますが、世界の建築物を見てみると庇のない建築物もあります。

庇は、日本建築の特徴であるとも言えるでしょう。

日除けや雨除けとしてのメリットだけではなく、デザインにおいても重要な役割を果たしているのが、庇です。

こちらの記事では、日本建築の特徴とも言える庇の歴史について、ご紹介します。

 

 

庇の種類

庇には、「陸庇」と「腕木庇」とがあります。

※「陸庇」と「腕木庇」については、「庇(ひさし)の」でもご紹介しております。

 

庇は元々、伝統工法である腕木庇が多く使用されていました。

柱にほぞ穴を開け、そこに固定する腕木庇は伏見稲荷大社御茶屋や桂離宮新御殿など歴史的な建築物でも使用されています。

自然と調和する数寄屋造りの考え方は日本的であり、現代でも和のテイストを取り入れている和モダンや純和風建築の建物などでは腕木庇を活用しています。

ただ、現代の建築物は、日本でも洋風の建築物が建てられることが多いです。

そのため、伝統的な腕木庇ではなく、陸庇を取り付けることが多くなってきているのです。

陸庇は、柱の側面に釘などを打ちつけて設置します。

そのため、後付けをする際にも腕木庇よりも容易に設置することができるのです。

また、伝統的な日本家屋や歴史的な建造物では、木材を使って作られていた庇ですが、近年では金属など別の素材を使用していることも多いです。

特に、アルミニウムで作られた庇は、近年の主流となっています。

 

 

通り庇

京都や奈良、大阪の町屋には、通り庇と呼ばれる庇が取り付けられています。

通り庇とは、通りに向かって伸びている庇のことで、町屋から表通りに向けて設置されています。

通常、庇の下の空間は建物の所有者のものですが、通り庇の下は半ば公共的な場所として雨宿りや雨の際の通り道としても使用されていました。

近年では、プライバシーの観点から、他人が所有している住宅の庇の下を通ることはありませんが、過去にはこのような文化があったのです。

 

 

おわりに

庇の歴史について、ご説明しました。

元々は、日本の伝統工法として腕木庇が多く採用されていましたが、昨今では陸庇が主流になっています。

日本の建造物の歴史とともに、長く日本の建造物の美観や暮らしを守ってきたのが庇です。

腕木庇が主流であった時代と比べ、現代では庇の後付けも容易になっています。

現在、庇を取り入れていない住宅や建造物でも、これを機にぜひ庇の取り付けを検討してみてください。